本の感想 

医者、用水路を拓く アフガンの大地から世界の虚構に挑む
中村 哲 著 石風社 2007年

9.11のあと、米軍がアフガニスタンに行った。「悪いやつ」を退治しに行って、現地で顰蹙を買ってる……ぐらいは思っていたけ ど、詳しいことはわからなかった。というか、この本を読んだら、テレビや新聞で言ってるコトとぜんぜん違うぞ??

大干魃が続いて難民が出てる? 戦争が始まる前から? そんなことは知らなかった。戦争より、まず食糧の支援を、と中村さんは訴える。国会で自衛隊を出す かどうかの議論があって、国会の特別委員会で話をする。

「不確かな情報に基づいて、軍隊が日本から送られるとなれば、住民は軍服を着た集団を見て異様に感ずるでありましょう」「自衛隊派遣は有害無益、飢餓状態 の解消こそが最大の問題であります」。

そしたら、鈴木宗男とかに野次られ、罵声を浴びせられた。
「自衛隊派遣は有害無益」という発言を取り消せ、とまで言われる。実情を知らない人から……!? 国会って不思議なところだな〜。現地の情報を知りたくて 呼んだんじゃないの? 礼を尽くして、謹聴すべきところじゃん。それをなんと無礼な。

ご本人も「『デモクラシー』とはこの程度のもので、所詮、コップの中の嵐なのだ。しかし、コップの中の嵐といえども、それが一国民の命運を左右するのであ るから、空恐ろしい話だとも思った」と。

やはり「国は国民を守らない」。ましてや外国人なんて(アメリカの政治家・金持ちを除いて)ってことなのか。

ペシャワール会医療サービスは文字通り医療を施す団体で、中村さんは医者だ。だけど、干魃の窮状を見かねて井戸を掘り、農業をし、用水路を造る。素人なの に、いや素人だからと書いてある。

多分八面六臂の活躍で、かなりワンマンなところもあって、土木から測量から交渉から仲裁から……なんでもやっちゃう。うう、すごい。すごい実行力。

地に足が着いてる。自分の見てるもの、感じてることに忠実。そこがすごい。

情報の海の中で、なにがほんとか。なにが自分に役立つのか。聞きかじりや鵜呑み、受け売りがすごく多いんだろうな〜。わたしは……。

自分の体験に重きを置く。そうすれば自ずと大切な情報かそうじゃないか、わかってくるんだろうか。(2008.2.28)

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